ルジャンドル変換・正準方程式
解析力学の世界では、運動方程式にはいくつかの表現方法が存在する。
そのひとつがラグランジアンを用いたオイラー・ラグランジュ方程式だが、今回紹介するのはハミルトニアンというのを用いた運動方程式である。
こちらの方が、運動方程式の形がシンプルでわかりやすい。
ハミルトニアンを用いた運動方程式を「ハミルトン方程式」とか「正準方程式」と呼ぶのだが、オイラー・ラグランジュ方程式では座標 とその一階微分 を用いていたのに対し、正準方程式では と運動量 を使って表現する。
こうすることにより、二階微分を用いずに一階微分のみで運動方程式を記述できるのである。
まず、ルジャンドル変換というのを考える。
これは、 という関数を という形に変換するもので、 を
となるように定義する。
このようにすると
というふうに の微分を表すことができる。
定義から がついている項は 0 になって消えるから
となることにより
という関係が求まる。
ラグランジアンを 、ハミルトニアンを とおくと、先ほどまでの話とは
という対応関係になる。
つまり、ハミルトニアンは
として定義され、
という関係が成り立つことになる。
を使うと
と変形できるが、運動量 は
だから結局
ということになる。
以上をまとめると、ハミルトニアンは
で、これを用いると
という関係が成り立つ。
このふたつの式こそが正準方程式である。
この関係は、ルジャンドル変換を考えればわかるように、 が時刻 を含んでいる場合にも当然成り立つ。
ハミルトニアンを用いるときに注意しなければいけないのは、 を残してはいけないということだ。
ハミルトニアンが時刻 を含む場合も考えれば だから、そこに が残ってはいけない。
を用いれば を で表すことができるから、それによって座標の一階微分は消去する必要がある。