大学物理の独言

物理学に関連して自分が学んだことを不定期で書いていきます。依頼や要望、ご指摘等はコメントまで

電磁気学

電磁波のエネルギー

マクスウェル方程式をいじると電磁波に関する波動方程式を導出できたが、電磁波について考えるにあたって今回は別の変形をしてみる。 のふたつの式に関して、(1)の両辺に磁束密度を、(2)の両辺に電場を内積の形でかけてみる。任意のベクトル に関してが成り…

マクスウェル方程式と電磁波

単磁荷と呼ばれるようなN極だけ、またはS極だけしか持たないものは見つかっていない。磁石というのはN極の逆側には必ずS極があるし、円形の電流が作り出すような磁場に関しても、そのつくりだすベクトルを調べると電気双極子によるベクトルとよく似た形にな…

アンペール・マクスウェルの法則

アンペールの法則の微分形について書いたときに、閉曲線 をふちとする曲面であれば、ストークスの定理で考える面 は綺麗な円や多角形であっても立体的に歪んだ面であっても問題ないということを書いた。しかし、普通はそれで問題なく計算できるのだが、少し…

自己誘導と相互誘導

ファラデーの電磁誘導の法則により、電気回路の中の磁束が変化すると回路に起電力が生じる。これは、回路に電流が流れることによって磁場が生じた場合にも同様である。回路に電流が流れるとそれによって磁場が生じ、その磁場によって回路自身に新たな起電力…

ファラデーの電磁誘導の法則

ビオ・サバールの法則やアンペールの法則は電流が生み出す磁場について記述するものだが、それとは逆に磁場によっても電流が発生する。より正確には、磁場の変化が電流を生み出す効果を持っている。 まず、重要な概念をひとつ紹介しておく。 をこれまで「磁…

アンペールの法則②

アンペールの法則の記事で紹介したように、磁束密度 は任意の閉曲線 でを満たすことが知られているのだが、今回はもう少し正確に書き直しておこう。磁束密度を計算する上ではあまり意識せずともよいのだが、この法則の右辺は、大きさ 、向きが電流が流れる方…

アンペールの法則

電流が作る磁場をビオ・サバールの法則によって求められることは、別の記事で扱っている。この法則によって磁場を計算できる状況というのはかなり多くて汎用性が高い法則なのだが、もうひとつ、磁場を計算するのに役立つ法則がある。それが、アンペールの法…

ビオ・サバールの法則

磁場が運動する電荷に影響を及ぼすように、運動する電荷も磁場に対して変化を起こす能力を持っている。運動する電荷が磁場に影響するのであれば当然電流が磁場に影響を及ぼすということになるわけだが、電流が磁場に与える影響を記述する法則こそがビオ・サ…

ローレンツ力

電気現象と磁気現象が密接に関わっていることは今でこそ広く知られているものの、200年ほど前までは全くの無関係と考えられていたという。両者の関係性が見出されるきっかけとなったのは電流に対して磁針が反応する現象で、この現象を数式的に記述したのがア…

ポアソンの方程式

電場 はガウスの法則によってで求めることができるが、今回はこれを少しいじってみる。ここでは紹介程度にとどめるが、ガウスの定理とストークスの定理という、電磁気学において非常に重要な定理がふたつ存在する。一般のベクトル について、ガウスの定理に…

静電ポテンシャル

重力のポテンシャルを考えることができるのと同じように、当然静電気力にもポテンシャルを考えることができる。これは電位といった方が馴染みがあるだろうが、ようは力学で考えていたのと同じようにどれだけの仕事をする能力があるかを表すものである。静電…

複数の電荷が作る電場と電気双極子

点電荷が作る電場については、別の記事で書いたように、その電荷が作る電場の対称性を考えた上で等電場の閉曲面について面積分を行えばよい。点電荷や球に電荷が一様分布する場合以外でも、たとえば無限に長い半径 の円柱形の物体に電荷が分布していた場合に…

ガウスの法則

電荷が存在するところには、電場が発生する。つまり、我々の身の回りに溢れるあらゆるものは原子からできていて、その原子というのは陽子と電子を持っているのだから、この宇宙というのは電場に塗れた世界ということである。磁場というのも電場が存在してこ…